Q11. 溶剤型インキのトラブル対策
指定以外の溶剤で希釈したために発生したトラブルです。
(Qセット溶剤は溶解力が弱いため、スーパーグロスインキを十分に溶解できません。その為にインキがゲル化し、目詰まりを発生させています。)
テクニカルインフォメーションにて指定された溶剤に変更して下さい。
尚、指定の溶剤を使用しても目詰まりが発生する場合には、希釈量を増やすか、より乾燥の遅い溶剤への変更をご検討下さい。
(速乾→標準→遅乾→リターダー)
一般に異なったシリーズのインキを混合して使用することは出来ません。
ほとんどの組み合わせでインキがゲル化し、印刷は不可能になります。
スーパーグロスインキとQセットインキでも同様です。
尚、ごく一部のインキシリーズ同士で混合が可能なものがあります。
これは各シリーズのテクニカルインフォメーションに記載していますので、ご参照下さい。
又、異なったインキシリーズの重ね刷りは、混合する場合よりもトラブルが少ないのですが、当社で確認を行っている組み合わせは一部だけで、その他ほとんどの組み合わせでは確認していません。
これも各シリーズのテクニカルインフォメーションに記載していますので、ご参照下さい。
トラブルを避ける上では、異なったインキシリーズの重ね刷りも避けて下さい。
パール色の調色には、パール顔料を使用しています。
パール顔料はインキ中の他の成分よりも重いために、調色インキの粘度が低く流動性がある場合には、沈殿しやすい性質を持っています。
白インキをベースとした調色インキも同様です。
対策としては、JA-141遅乾コンパンドを5%程度添加することにより、顔料の沈殿は防止されます。
尚コンパンドを添加する際には十分に撹拌を行って下さい。
(注:JA-101汎用コンパンドは乾燥が速いため、PETインキに添加した場合に目詰まりしやすい傾向があり、お勧めできません)
ひげの発生に対しても、コンパンドの添加が効果的です。
JA-101汎用コンパンド又はJA-141遅乾コンパンドを5%程度添加して下さい。
これにより、ひげの発生が防止できます。
コンパンドを添加する際には十分に撹拌を行って下さい。
材料が薄く耐溶剤性が不充分だったためのトラブルと考えられます。
遅乾溶剤やリターダーでインキを希釈して印刷する場合には、乾燥を十分に行う必要があります。
もし不充分であると、インキ皮膜中に残留溶剤が残ります。
残留溶剤は可塑剤として作用するため当初は何も問題がないように見えますが、印刷物が屋外に放置されている間に乾燥が進むと、インキ皮膜が収縮し材料が変形してしまいます。
対策としては、乾燥の速い溶剤に変更して残留溶剤が残らないようにして下さい。
この方法で変形が防げない場合には、インキをより残留溶剤の残りにくい3500シリーズ EXGインキに変更するか、それでも駄目な場合には材料を変更する必要があります。
アクリル成形品などの耐溶剤性の弱い材質に印刷を行った場合に、溶剤型インキの中で最もクラックを発生させにくいインキは800シリーズ PASインキです。
また、PASインキを使用してもクラックが発生する場合には、温風乾燥でなるべく早く乾燥することによりクラックの発生は著しく少なくなります。
600シリーズ VACカラーはアクリル系のインキで皮膜が硬く、その為にカールしたと考えられます。
皮膜が柔軟なインキである、3500シリーズ EXGインキやレイキュアーVX 4700シリーズ(UV型)へのインキ変更をお薦めします。
VACオーバーコートクリアー(O.C.C.)の乾燥皮膜が硬いためのトラブルです。
柔軟な皮膜を形成する3500シリーズ EXGインキ 3500メジウムへのインキ変更をお勧めします。
また100シリーズ スーパーグロス SGメジウムを使用した場合には、EXGよりも少し皮膜が硬くなります。
EXGでは光沢が不足する場合には、UV型のレイキュアーVX 4700シリーズ 改5オーバーコートクリアーの使用をお勧めします。
希釈溶剤を#200遅乾溶剤又は#250リターダーに変更して下さい。
また細かいパターンの印刷の際など、インキの粘度を下げたくない場合には、JA-141遅乾コンパンドを5-10%添加して下さい。
インキの乾燥不良が臭気の原因です。
60℃1時間以上の温風乾燥を行うことによって、OPSインキは完全乾燥し残留臭気は解消されます。
900シリーズ テトロンインキは、光沢の優れた厚膜インキである為に、乾燥が不十分な場合には印刷物がブロッキングする危険性があります。
また塩ビシートは有機溶剤を吸収し若干膨潤する性質を持っていますので、テトロンインキをPET材に印刷する場合よりも、更にブロッキングトラブルが発生しやすくなっています。
対策としては、インキを塩ビ用インキである、ビニールインキ(艶消型)、又は3500シリーズ EXGインキ(光沢型)に変更して下さい。
EXGインキでは光沢が不足する用途では、100シリーズ スーパーグロスインキを使用すれば光沢の優れた印刷が可能になります。
しかしブロッキングの危険性はEXGを使用したときよりも増えますので、ご注意下さい。
なおUV硬化型インキ(レイキュアーVX 4700シリーズ、レイキュアーLP 4700シリーズ、等)に変更した場合には、ブロッキングの心配は全くありません。
H型ハーフトーンインキには、標準タイプと遅乾性タイプの2種類の設定があります。
細線の印刷やドットの細かいカラー分解印刷の際には、遅乾性タイプを使って下さい。
それでも目詰まりする場合には、JA-141遅乾コンパンドを10%程度添加して下さい。
9100PLシリーズ PETインキの成分中には、粘着性を阻害する様な成分は含まれていません。
(シリコン系の消泡剤やレベリング剤、またスリップ性を付与するためのワックス成分などは、粘着性を阻害する成分です)
今回シワになったのは、インキの乾燥不良がトラブルの原因と考えられますので、貴社にて確認試験を実施して下さい。
揮発した溶剤蒸気がアクリル素材表面を冒したためのトラブルと考えられます。
アクリル成形品は、品種によって溶剤性の弱いものがあります。
(特にリサイクル品の場合)
この様な材質に印刷する場合には、スチロール溶剤を使用して下さい。
8000シリーズ PCインキは皮膜が柔軟なので、印圧が強いと刷版の紗の交点部分が強くインキに密着し、その部分にピンホールが発生しやすい性質があります。
特に乾燥が不十分な状態で重ね刷りを行うと発生しやすくなります。
印圧及び乾燥条件を変更することで解決出来ますので、お試し下さい。
尚、本来のピンホール現象は発生場所が不規則ですが、印圧が原因のピンホールは同じ位置に発生します。