- 環境・品質
環境負荷・有害物質について(ハロゲン・ナフタレン等)
2009.09
十条ケミカル株式会社
ハロゲンって何?
フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I) 等のハロゲン族元素の総称。
その化合物は化学的に安定で、難燃性物質となるため、高温での廃棄処理が必要。
適切に処理しないとダイオキシンを発生させる恐れがある。
身近なもので「塩ビ樹脂」は一部の溶剤型インキに含有されている。
食塩もハロゲン化合物。
魚の塩焼きでもダイオキシンは発生する。
米APPLE社では食塩も使用禁止物質としている。
フッ素はスリップ剤などインキ添加剤に含有、塩素は樹脂以外では顔料にも含有している。
ハロゲンに関してはRoHS指令等の国の規制対象にはなっておらず、メーカー自主規制の段階。
製造業種・メーカーなどで基準はまちまち。 電気(パソコン・携帯)関連で規制の動きが大きい。
(プリント基板で規制値が出ている)
ダイオキシンって何?
・人工物としては史上最強の毒物
ドイツやスウェーデンの研究機関が80年半ばに臭素系難燃剤の危険性を指摘したことがきっかけとなる。
臭素系難燃剤の中でもDBDE(通称デカブロ)が特に危険とされ、日本でも欧州でも他の臭素系難燃剤に転換した経緯がある。
その後もハロゲン系難燃材への懸念は残り続け、デカブロ以外にも規制や使用の制限を検討してきた。
ハロゲン(難燃剤)規制は今後も厳しくなっていく事が予想される。
環境省の見解
ダイオキシンは、塩素が存在する状態で有機物を燃焼させたときなどに発生しますが、ダイオキシンの発生の詳しいメカニズムは、まだよくわかっていません。
たばこの煙などからもダイオキシンが検出されており、いろいろなものを燃やした時に発生すると考えられます。
ごみを焼却する際に、ごみに含まれるプラスチックが減少するとダイオキシンの発生量が抑制されるかどうかについては、現在のところ、減少するという研究結果と、変わらないという研究結果の両方があって、定かなことは言えません。
ナフタレンってなに?
ナフタレンはPAHsの一つであり、変異原性物質として労働安全衛生法の規制対象となっている。
防虫剤として一般に使用されていた事もある。
溶剤の芳香族炭化水素に不純物もしくは一成分として含有されている。
PAHsってなあに?
複数の芳香環をもった炭化水素。
化石燃料の他、炭素を含む物質(木材、タバコ、脂肪、香など)の不完全燃焼によっても生成する。
分子量が増えるにつれPAHの発癌性は増大し、急性毒性は減少する。
環1つでベンゼン、2つでナフタレン、3つでアントラセン(下記はアントラセン)
PAHsは自然環境で分解、無毒化されるまでに長い時間がかかり、その間環境中に残留し続ける。
PAHsの法規制等
GSマーク認証 : ドイツの法律に基づいて認証される製品安全の認証。
対象は玩具や自転車、ヘルメット、コピー機、ファックス、シュレッダー、プリンタなどの事務用機器など。
日本のSGマーキングとよく似ている。
PAH評価物質一覧があり、PAHを分析するなりして評価しなければならない。
- 対象一覧
- Naphthalin(ナフタレン):91-20-3
- Acenaphthylen(アセナフチレン):208-96-8
- Acenaphthen(アセナフテン):83-32-9
- Fluoren(フルオレン):86-73-7
- Phenanthren(フェナントレン):85-01-8
- Anthracen(アントラセン):120-12-7
- Fluoranthen(フルオランテン):206-44-0
- Pyren(ピレン):129-00-0
- Chrysen(クリセン):218-01-9
- Benzo[a]anthracen(ベンゾ(a)アントラセン):56-55-3
- Benzo[b]fluoranthen(ベンゾ(b)フルオランテン):205-99-2
- Benzo[k]fluoranthen(ベンゾ(k)フルオランテン):207-08-9
- Benzo[a]pyren(ベンゾ(a)ピレン):50-32-8
- Indeno[1,2,3-cd]pyren(インデノ(1,2,3-cd)ピレン):193-39-5
- Dibenzo[a,h]anthracen(ジベンゾ(a,h)アントラセン):53-70-3
- Benzo[g,h,i]perylen(ベンゾ(g,h,i)ペリレン):191-24-2
皮膚への接触時間やリスクによってカテゴリーがあり、そのカテゴリーによって規制濃度が決められている。
REACH SVHCリストの候補物質 でアントラセンが上がっている。
REACH規則とは、化学物質を年間1t(トン)以上製造・輸入する場合、EU域内(欧州連合)のすべての製造・輸入業者が、欧州化学物質庁(ECHA)のデータベースへ、化学物質に関する情報を登録しなければならない。
登録しない場合、化学物質の製造・輸入ができなくなる。
また、環境への影響が大きい有害物質を「高懸念性物質(SVHC)」として規制しており、SVHCをEU域内で製造または輸入する事業者は、安全性データシート(SDS)等の物質関連情報を川下ユーザーに提供する義務がある。
その他メーカー自主規制など。
ホルマリン(ホルムアルデヒド)
ホルマリン(ホルムアルデヒド)は、シックハウス症候群を引き起こす原因物質のひとつといわれ、1997年6月には厚生労働省の室内濃度の指針値として100μg/m3(0.08ppm)が設定されている。
さらに、2002年7月の建築基準法の改正により、ホルムアルデヒドを発散する建材について技術基準が定められ、翌年7月から法規制が行われている。
発ガン性の疑いもある。
当社で以前使用していた蛍光顔料の中にホルムアルデヒドを含有するものがあったが、現在は原則としてホルマリンフリーの蛍光顔料のみを使用している。